キャリコンリンクにご興味をいただき、有難うございます。
少し長いですが、私の話を聞いていただけませんか?

瀧本博史(たきもと ひろし)
早いもので気がつけば、私がキャリアコンサルティングの世界に入って20年以上が経ちます。今でも変わらないことは、クライアントにとって自分ができることの幅を広げていくことが、この仕事で必要とされることであると肝に銘じ、現場に立っていることでしょうか。ただ、私の仲間づくりが下手なせいか孤独に現場へ向かい、過去のクライアントには「随分と迷惑をかけてきたなぁ」という反省もあり、それがこの「キャリコンリンク」の活動にもつながっています。私は、もともと長く教育機関で就職指導をしていたのですが、今思えば無謀です。若年者人口の減少とともに自身のライフキャリアに変化を求めたくなり、中年になってから無資格のまま、そこを飛び出してしまいました。当然のことながら、わずかばかりの知り合いしかおらず、右も左も分からないままオロオロする毎日。自身の職業経験だけが頼りの中で、「なんとかなるだろう」と思いつつも、中年だからかいっこうに再就職もできず。途方に暮れる中、当時の私はいつしかハローワークでの求人検索が日課となっていました。
<人生を変える資格との出会い> そんな中、たまたま見つけたブログに私は「産業カウンセラー」という資格を見つけました。なんでもハローワークで働くには、この資格が有利とのこと。その日暮らし同然な私にとって、継続して働ける場所はとてもありがたいことだと無理して集めた受講料を納め、7ヶ月間の養成講座に通いました。今、振り返ってもこれは長かったです。この養成講座は当時10名程度で1グループを作り、ほぼ毎週実技の練習をしていました。グループの人たちは私と違い、定職に就いている人も多かったので私だけが切羽詰まった状態です。よく通っていたこともあり、「(給料が高くて比較的長期でも働ける)ハローワークで働きたい」。この一心で、資金面からも私はどうしても一発合格する必要がありました。


<せっかく合格しても、そこには壁があった> なんとか一発で合格したものの、やはり求人検索の日々は再び訪れます。求人で多いのは、企業分野か需給調整機関での実務経験を持った人を対象にしたものが多かったからです。私は、毎日必死で書類を作成して40件から50件の求人に応募しました。今思えば、職務経歴書の書き方なんて我流もいいところで自分の強みもハッキリしない酷いものです。それでも諦めるわけにはいかないので私は応募を続け、なんとか1年間の期限つきですがフルタイムで地方自治体の就労支援施設から就労の機会をいただいたのです。
<中に入ってみてビックリ> 私が取得した産業カウンセラー資格は、カウンセリングに主体をおいた資格です。需給調整機関では就業に関する相談が中心となるので、周りにはキャリアコンサルタントの資格をもつ同僚が複数いました。そして、キャリアコンサルタント資格という武器を使える彼らは、私にとって自分とは比べ物にならないぐらい充実した情報をクライアントに提供しているようにも見えました。キャリアシートを使ったコンサルティング、個人の価値観やパーソナリティをつかんだ上での面談の見立てなど専門家としての役割がそこにはありました。「自分もキャリアコンサルタントになる!」。産業カウンセラーだけで充分だと思っていた自分に、早くも実務の壁が目の前に訪れました。


<キャリアコンサルタントになっても立ちはだかるライバル> 幸運なことに私は塾を利用したこともあり、半年経たずにキャリアコンサルタント資格を取得することができました。この資格を取得したおかげで業務にも慣れ、来所者の方々へある程度のサービスを提供できるようになりました。ただ、ここには大きな問題がありました。それは、この就労支援施設での1年の就労期限が近づいてきたことです。「このままではまた、不安定な生活に逆戻りしてしまう」。期限が来て仕事がなくなることを恐れた私は、当時約4,000人だった国家資格2級キャリアコンサルティング技能士となり、約35,000人のキャリアコンサルタントというライバル達から抜け出すことを決心しました。
<国家資格2級キャリアコンサルティング技能士への挑戦> 期限が来れば仕事がなくなると考えたら本当に必死です。日々の業務に加え、国家資格2級キャリアコンサルティング技能士の実技合格率17%の壁をこえるための勉強と訓練をしなければなりません。私にはネットワークもありませんし、周りに国家資格2級キャリアコンサルティング技能士もいませんでしたから本当に孤独な戦いです。「こんなとき仲間がいれば…」。何度これを思ったことでしょう。来所者の方々との面談は実技試験だと仮定し、何度も何度もシステマチックアプローチを繰り返しました。そして合格し、期限が来ると同時に念願だったハローワークでの就労が決まったのです。


<やっぱりハローワークも期限付の就労なので> ご存知のように、ハローワークは非常勤での就労です。しかし、ベテランとも言われる長く更新を続けていらっしゃる方もおられます。でも、自分にいつ終わりが来るのか分かりません。私はだんだんと、「この仕事がなくなったらどうすればいいんだろう」という不安にかられました。私は専門支援での対応が主な業務だったので、就労支援と求人紹介ができることは、とてもやりがいのあることでした。でも、やっぱり非常勤なのです。いつしか「もっと実務経験を積んで、仕事ができるようになれば困らないのでは?」とも考えるようになり、自分からハローワークでの就労を辞めてしまいました。
<企業分野での業務が弱いのではないか> 私は教育機関にいた頃、管理職として採用にも関わる機会がありました。また、就職指導もしていたので若年者を含めた採用もできます。でも、企業分野は各社全くやり方が違うので、オーダーをいただいても戸惑うことがよくありました。ポートフォリオを作ったり、ジョブカードを使った面談を行なったり、職業訓練校なら企業としての側面もあるので経営に配慮する必要があったり…。数え始めたらキリがないのですが、すべての困難はその解決方法を知っている人がどこにいるのか分からないため、こういった実務レベルでのことは誰にも相談することができず、苦労を重ねるしかありませんでした。


<キャリコンリンクが実現したいこと> 「現場での困難をきちんと責任もって解決できる実務者を増やしたい」。この一心で運営しています。残念なことに実務で必要なことは、全て現場が知っています。偉い先生を含む難解な理論や高度な技術だけの教授は「何の役にも立たなかった」と今でも悔し涙があふれてきます。ささいなことであっても、現場で活動する人だけがそれらを乗り越えるための「コツ」をもっていると私は肌で感じてきました。キャリアの現場で同じように苦労している人たちが集まり、その知恵を出し合いながら共感し、成長できる機会や場があれば、将来的にこの業界のさらなる発展も見込めるのではないかという思いが私にはあります。キャリコンリンクは「机上の理論ではなく、現場で今使えること」の提供を目標に掲げ、交流会をメインに今後も活動を提供していきます。